歴史に裏付けられた進化するグラン・ヴァン『シャトー・ラフィット・ロートシルト』

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ワインを巡る旅
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この連載では、ボルドーだけではなく世界の頂点として、ワインを愛する人たちから認知される5大シャトーを紹介させていただきます。

これまで積み重ねてきた伝統を守りつつも先進的な取り組みも積極的に取り入れ、栽培から醸造技術に至まで、全てを進化させてきたからこそワインビジネスのトップランナーとして世界のワイン産地を牽引しています。

そんな5大シャトーの歴史と哲学についてビジネス面においても学べることは多いでしょう。

標高の高く水捌けの良い土壌に恵まれたラフィット

ラフィットとはガスコン語で「小高い丘」を意味する「La Hite(ラ・イット)」に由来してまして、17世紀後半に、セギュール家が資本をかけ整備したことでブドウ畑の評価が高まって、18世期後半には、後の第三代合衆国大統領になるトーマス・ジェファーソン駐フランス大使が好んで購入されたのだとか。

1955年の格付けでは、取引価格はクルティエによって決められていたのですが、「シャトー・ラフィット・ロートシルト」は第1級の中でも最上位とされていました。

1868年にはロスチャイルド家であるフランスの分家トップのジェームス・ド・ロスチャイルド男爵が、パリのオークションでシャトーを落札したことからロスチャイルド家の歴史を印象付けました。

大戦中はドイツの支配下になりましたが、終戦後にエリー男爵のもとで復興を果たし、1960年代に入るとアメリカ市場を開拓して、「シャトー・ムートン・ロートシルト」と切磋琢磨の中、価格と品質を高め合って62年には同じボイヤック村の格付け第4級「シャトー・デュアール・ミロン」を購入しました。

実は60年代中盤から70年代はやや売上不振だったが、74年にエリー男爵の後継である、いとこのエリック・ド・ロスチャイルド男爵の代になると本格的に経営改善に乗り出し、除草剤の制限や植え替え、圃場改修を進め、87年には最大2200もの樽を円形に鎮座させる実に荘厳なカーブの建設に乗り出して、88年に完成させました。

112haもの畑は三ヶ所に分かれており、シャトーを囲む標高27mに達する丘陵や西側にはカリュアド大地が隣接する圃場や、サン・テステフ村に位置する4.5haの圃場もあります。

土壌は細かな4mもの厚みのある礫が特徴で、地質学的には第三紀の石灰質で、水捌け、日照とも申し分ないワインに愛された恵まれた環境にあります。

こうしたテロワールがラフィットのエレガンス、女性的なテクスチャー、ミネラル感の表現に繋がっていて、2区画ある「カリュアド」はセカンドワインの名前として使われていますが、この区画のブドウこそがグラン・ヴァンに使用されているのです。

サン・テステフ村のブドウは、格付けされた1855年から使用されているため、ブレンドも認められており、南西部でムートンと接しています。

ブドウの品種を見てみるとカベルネ・ソーヴィニヨンが70%、メルローが25%、カベルネ・フランが3%、プティ・ヴェルドが2%といった栽培比率でグラン・ヴァンには樹齢10年未満の樹は使用されないことになっています。

グラン・ヴァン用の樹は平均45年であり、「ラ・グラヴィエール」と呼ばれる区画は1%にも満たない広さで、植栽密度はヘクタールあたり8500本前後、そして有機肥料だけを用いて栽培されています。

ボルドーのフィネスとエレガンスの象徴

発酵には大型の木樽を用いて、ステンレスタンク、小型のコンクリートタンクで区画ごと、ブドウ品種ごとに分けられており、マロラクティック発酵は小型のステンレスタンクですがグラヴィティー・フローは導入されていません。

醸造に使用される樽は全て自社の樽工房で生産され、その生産量は新樽100%で18ヶ月〜20ヶ月の間、熟成されています。

生産量は15,000〜20,000ケースほどで「カリュアド・ド・ラフィット」は1850年代に最初に生産されたボルドーで最も歴史のあるセカンドワインの一つとなっています。

1960年代に「ムーラン・ド・カリュアド」の名前で再び導入されてから、カリュアド・ド・ラフィットとして名を広めました。

このラフィットの特徴はデリケートで、エレガンスとフィネスに溢れ、スムーズなテクスチャーとしなやかなタンニンを備えています。

良年作になるとカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が限りなく100%に近づき、力強さと女性的な繊細さを両立されています。

ワイン評論家のロバート・パーカー氏は2003年ヴィンテージに100点を与えた程です。

2018年の150周年を契機に同年4月から新経営体制へと移行して、新しい女性リーダーの元でどのように進化していくのか世界中が注目しています。

次回は初のオーガニック認証を受けたシャトー・ラトゥールについて解説させていただきます。